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香美市  

「香北良心市」

「良心市」の素朴さを大切に残して生きたい。
高知最古の直販所!


 香美市は、高知県北東部、県都高知市から約15km、車で約30分のところにあります。2006年3月に土佐山田町、香北町、物部村が合併して香美市となりました。その香美市の中心部「香北町」は、韮生米(にろうまい・高知県内での3大ブランド米の一つ)、ニラ、大葉、やっこねぎ、しいたけ等を栽培しています。
 「香北良心市」は県下でも最古参の農家直販所として、香北町周辺の住民の皆さんに長年愛されています。

●高知県香美市香北町美良布1293 高知道南国IC下車、国道195号線を北東へ30km。車で約35分
●営業時間/4〜9月 7時〜18時 10〜3月 7時30分〜17時30分
●休業日:1/1〜1/3



昔ながらの佇まい

 高知の「良心市」といえば、道の辻などに季節の野菜や果物を並べ、購入者がお金を入れて品物を持っていく、無人の街路市です。戦後、高知を訪れた民俗学者が名づけたそうですが、この無人の街路市自体は中世や古代にまで遡る歴史を持っています。
 この「良心市」の名残を残し、古き良き時代を彷彿させるのが、ここ「香北良心市」です。
 こちらはその名のとおり、市場に出ない規格外の作物を気軽に売っている、無人の「良心市」として、昭和52年にJA青壮年部の数名が始めました。
 昭和58年より有人の市となり、現在では、運営も「良心市利用組合」が独自で行っています。施設は無人の頃のままで、「最も古い歴史を持つ直販所」として人気を得てきました。

              

「良心市利用組合」の役員(左から)南場さん、竹内さん、山崎さん、田島さん、吉本さん、事務局の竹平さん。  今が旬。香北町自慢のイチゴ。

              

ボックス。生産者が自由に陳列します。                   「宝さがし」中のお客さま。

 

宝さがし

 ここ「香北良心市」では、現在常時150名以上の生産者が野菜や果物、花卉などを出荷しています。組合員は自由な時間に空いているボックスに取れたての野菜や果物を入れていきます。「お客様は午前中に多くいらっしゃるので、生産者もだいたい午前中に納入しますね。近くに住む生産者は、品薄になったらその都度追加しています」と、組合長の山崎さん。
 ボックスに入れる並べ方などに決まりごとは設けておらず、とにかく空いたところに入れていきます。品物が乱れてきたら店員の方が直していきますが、見やすいようにしているのみで、どこに何があるかはお客様が自分で探し出さなければいけません。「どこにお買得品があるか探す、宝さがしみたいでしょ。これが結構お客様が喜んでくれるんですよ。以前買って美味しかったものは、生産者の名前を覚えていて、同じ人のものを探す。毎回、違う場所にあるから、あちこち探しているうちにいろいろ見つけて楽しくなっていく。そんな楽しみ方があるようですね」と、事務局の竹平さん。

こだわりの野菜

 「香北良心市」には、平日で250人前後、土日は300人以上のお客様が来店します。地元や香美市内のお客様は、ここが無人市だったころからのリピータがほどんど。土日に来るのは「ここの野菜が一番おいしい!」と高知市方面からわざわざ車で乗り合わせてくるこだわりのお客様です。「よその直販所でも新鮮なものや安いものはあるけど、ここは味が違うといって下さいます。ここは、山間の土地で朝晩の温度差があるので、作物がおいしくなるんですよ」
 また、香北町は小規模農家が多く、高齢化も進んでいますが、それもよい面があると山崎さんはおっしゃいます。「大規模に市場に出すには手間を掛けず農薬や化学肥料を使うでしょう。でもここに出されるのは、家庭菜園の延長とでもいいますか、組合員の皆さんが自分で食べるものを作る感覚で作ったものばかりなんですよ。少量の作物を手間ひま掛けて育てているからこそ、おいしくて安全、安心な作物ができるんですね」。さらに安全性を高めるために、香北町では普及センターの指導のもと、栽培方法の研修会も年1〜2回行っています。

   

お客さまの声も大切。対話を心掛けています。                         花卉類も豊富に並ぶ。

   

ご意見ボード。                    お客さまは地元はもちろん、高知市方面からもお買い物に来てくれます。

 

よいものを安く

 「香北良心市」では、意見交換ボードを設置してお客様からのクレームを聞いたり、直接お話したりして、商品や価格についての意見を求め、反映させています。また生産者も、商品ラベルにレシピの提案を載せるなど、野菜のおいしさをもっと伝えるようにしています。  価格については、経費節減を行い少しでも安くする努力をしています。「店構えなんかにはあまりお金を掛けてませんねえ。店舗もボックスも無人市のころのまんま。素朴な感じがかえって良いでしょう!? 小奇麗にして、よそと一緒にしてしまったら、うちの魅力がなくなるしねえ」

今後の課題

 設立当初は珍しかった直販所も、今では県下各地にでき、各店舗がお客さんを取り合っている状況です。そういった競合店に負けないようにするにはどうするべきでしょう。運営委員の皆さんにお尋ねしました。
 「店舗や駐車場をもっと広くして、多くの人に来てもらうようにできればいいのですが。香北町や香美市で人口が減ってきてますので、他地域からの来客を増やすようにしなければいけないですね」
 また、端境期に品薄になる状況や、後継者の問題など、どこの小規模農家でも抱えている問題にも直面しています。
 「現在の組合員は若くても60歳代、後期高齢者もかなり多いです。ここの良心市は高齢者の生活の励みになってはいますが、今後は先細りすることは目に見えています」
 30年近い伝統を持つ直販所「香北良心市」が時代のニーズをつかんで生き残れるよう、役員の皆さんの努力は続きます。